「着物は虫干ししなければいけない」と聞いたことがありませんか?
虫干しとは、自宅で行う着物のお手入れの一つです。
防虫・防湿効果が生まれ、大切な着物をきれいなまま長持ちさせることにつながります。
言葉から手間が必要なイメージを持つかもしれませんが、やり方はとても簡単です。
今回は、着物の虫干しについて基本的なことややり方をご紹介します。
大切な着物を着続けたい人、自宅で適切なお手入れを行いたい人は参考にしてみてくださいね。
目次
着物の虫干しとは
着物の虫干しとは、直射日光の当たらない場所で定期的に着物を繊維の奥から乾燥させることです。
着物に使われる地糊をはじめ、着用による汗などによって湿気がこもりやすいもの。
しっかりと着物を乾燥させることで、繊維にこもった湿気を外に逃がすことができます。
湿気がなくなると、繊維を好む害虫が寄りつきません。
防虫効果があることから、虫干しと呼ばれるようになりました。
虫干しと陰干しは同じ?
虫干しと似た言葉に、陰干しが挙げられます。
陰干しは、着用後に直射日光の当たらない日陰に干して汗を飛ばすことです。
着物だけでなく、ほかの衣服を日陰で干すときにも陰干しと呼ばれます。
つまり、虫干しは着物のお手入れを指し、陰干しは着物をはじめとする衣服の干し方を指すのです。
日陰で干すという面では同じ行為といえますが、着物の定期的なお手入れでは虫干しという言葉が使われています。
なぜ?定期的に着物を虫干しすべき理由とは
虫干しは、定期的に行うことで効果があると考えられています。
定期的に行うことが大切である理由を4つご紹介します。
着物を好む虫から守るため
質の良い着物は、絹を素材に作られています。
ヒメマルカツオブシムシなど動物性繊維を好む虫にとって、絹の着物は大好物です。
着物に卵を産み付けたり、幼虫が繊維を食べたりし、着物に虫食いの穴を開けてしまいます。
動物性繊維を好む虫は高温多湿な環境も好むため、湿気がこもった着物は過ごしやすい場所といえるでしょう。
虫干しによって繊維の奥から湿気を外に逃がすことで、虫が好まない・寄り付かない環境を作ることができるのです。
カビの発生を防ぐため
虫と同じように、カビも高温多湿な環境を好みます。
着物をしまったままにすると、湿気によってカビが発生しやすい環境になってしまうのです。
着物にカビが発生すると、自分で完全に取り除くことは難しいといわれています。
ニオイやシミ、変色などの原因にもなり、カビの進行が進んだ着物は着られなくなってしまうことも珍しくありません。
虫干しを行って着物が乾燥することは、防カビ効果にもつながります。
着物を消臭する効果があるため
着物は普段着として選ばれる洋服と比べると、丸洗いの回数が少ない衣服です。
着物を着てお出かけすると外のニオイがついてしまうことがあるでしょう。
保管中についたニオイが気になることもあるはずです。
着物を虫干しすることで、繊維の奥から空気が入れ替わります。
着物についたニオイを消臭してくれる効果があるのです。
久しぶりに着る着物についてしまったカビのニオイも、一時的に消臭してくれます。
ただし、カビは取り除かなければ根本的な解決にはなりません。
カビが気になるときには早めにクリーニングに出しましょう。
着物の状態の確認になるから
虫干しを行うためには、着物を広げる必要があります。
着物を広げることで、シミや変色、汚れなどの状態を確認することができるのです。
長期間保管したことによるトラブルにも気づくことができるでしょう。
ただし、時間が経ってから気づいたトラブルは、原因や時期がはっきりしないことがほとんどです。
そのままにしてしまうと着物が傷んでしまうため、クリーニングで念入りにお手入れしましょう。
着物の虫干しの回数や時期・時間帯をご紹介
着物の虫干しには、適切とされる回数や時期、時間帯があります。
それぞれに気を配ることで、より効果的な虫干しになるでしょう。
着物の虫干しの回数
虫干しの回数は、1年に3回が基本とされています。
必ずしも3回を厳守する必要はありませんが、2回は忘れずに行いましょう。
クリーニングで着物を陰干ししてもらったときには、回数にカウントして問題ありません。
自宅で2回、クリーニングで1回と習慣を決めている人も多いです。
着物の虫干しに適した時期
虫干しには、適した時期ごとに名前がついています。
・土用干し:台風の前後を避けた7月下旬から8月上旬に、梅雨による湿気を飛ばす
・虫干し:9月下旬から10月中旬に、夏の虫を払って衣替えする
・寒干し:2月ごろに、冬の湿気を飛ばす
この時期のなかでも、湿度が40〜60%、気温20℃以下の日が理想です。
空気が乾燥し、晴れの日が続いているときに行いましょう。
前日が雨のときには空気中に湿気が溜まっているため、おすすめできません。
着物の虫干しに適した時間帯
1日のなかでも空気が乾燥している午前10時から15時ごろが適しています。
朝や夕方は湿度が上がりやすいため、着物を干しっぱなしにしないように気をつけましょう。
誰でも簡単にできる◎着物の虫干しのやり方をご紹介
着物の虫干しは、誰でも簡単に行うことができます。
1.和装用のハンガーに着物をかける
2.和装用のブラシで着物全体のホコリを払う
3.シミなどのトラブルがないか着物全体を確認する
4.直射日光を避け、風通しの良い場所に陰干しする(室内の場合は窓を開ける)
5.そのまま4時間程度干す
6.着物を取り込んで本だたみする
7.新しいたとう紙で包んで保管する
複数の着物を一度に干すときには、着物と着物を離しましょう。
2日間に分けて行うことになりますが、裏返してもう一度干すことも効果的です。
さらに、帯も同時に干すことをおすすめします。
帯の中には芯が入っているため、生地から芯に湿気が移ってしまうのです。
湿気によって帯にカビが発生してしまう可能性があります。
帯の虫干しは、着物と同じやり方で問題ありません。
着物を良い状態で保つのなら、虫干し+撥水加工がおすすめ
虫干しは虫やカビの発生を予防するお手入れであるため、ほかの汚れは防ぐことができません。
着物を着ると、雨や泥、化粧品、飲食物などさまざまな汚れがついてしまう可能性があります。
汚れから着物を守りたいときには、撥水加工を施しましょう。
撥水加工によって水分を含む汚れを防ぐことで、着物をよりきれいな状態で保つことができます。
着物専門店の林屋が開設する『きものクリニック』では、プラチナガードという撥水加工をご用意しています。
京都のやま忠の技術と特殊な専用液によって、汚れから大切な着物をガード。
プラチナガードを施した着物は、きものクリニックでのクリーニングも無料です。
林屋の着物はもちろん、他店で購入された着物や譲り受けた着物もプラチナガードを施すことが可能です。
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着物に撥水加工を施すべき?撥水加工の気になるアレコレを徹底解説
着物それぞれの風合いや光沢はそのまま
プラチナガードでは、着物の素材ごとに薬剤を配合しています。
そのため、プラチナガードを施しても風合いや光沢はほとんど変化しません。
着心地や通気性はそのままに、着物の機能性を高めることができるのです。
水分を含む汚れから着物を守る
着物の素材に使われる絹は、水分に触れると縮んでしまいます。
絞りや箔といった装飾も水分が苦手であり、風合いが変化してしまうことがあるのです。
プラチナガードによって水分を撥水することにより、着物の縮みや風合いの変化を防ぐことができます。
飲食物をこぼしてしまったなど、突然のトラブルにも慌てません。
選べるお手入れ方法が増える
これまで着物のお手入れには、水分を使う方法は避けられてきました。
そのため、着物のお手入れは水分を使わないドライクリーニングが一般的でしょう。
プラチナガードを施した着物なら、従来の方法に加えて水分を使ったクリーニングも可能です。
選べるクリーニングメニューの選択肢が広がり、悩みや予算に合わせたクリーニングをお願いできるようになります。
小物類の加工もOK
きものクリニックのプラチナガードは、小物類への加工も可能です。
小物類は手垢や汗がつきやすく、摩擦によって黒ずみになってしまいます。
金糸や銀糸が使われた小物は、酸化することで変色したり光沢が失われたりすることもあるのです。
プラチナガードを施すことで、汚れにくく、高級感のある光沢を長く楽しむことができます。
まとめ
着物の虫干しについてご紹介しました。
着物専門店の林屋が開設しているきものクリニックでは、20年以上に渡ってあらゆる着物の悩みを解決しています。
クリーニング内容やお見積りなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。
また、着物も豊富にご用意しています。
林屋だからできる特別な着物セットやお得な特典で、着物ライフがより楽しくなるはずです。
ご来店の際には、ぜひWebからご予約の上ご来店ください。
岡山・香川県下No.1を誇る5,000点以上の品揃えでお待ちしております。