着物コラム

【産地一覧】着物はどこで作られる?日本全国の産地を詳しくご紹介

着物の産地

着物は日本の伝統的な装いでありますが、どこでどのような着物が作られているのかはわからないという人も多いです。
実は日本全国で作られ、それぞれ特長や歴史を持っています。
着物の産地について知ることで、自分の新たな好みを見つけたり着物への関心がより深まったりすることでしょう。

今回は、着物の産地について詳しくご紹介します。

着物は日本の伝統的な装いである

着物は、日本に洋装が入ってくるまでの間、衣服として着られてきました。
都道府県の広い地域で作られ、その土地の風土や採れる植物などによって、さまざまな織り・染めが生まれたのです。
明治時代に洋装が入ってきたとともに、着物は和服や呉服などとも呼ばれるようになりました。

日本全国、着物の産地をご紹介

着物の産地

着物の産地について、歴史や特長をご紹介します。
なかでも、以下の着物がとくに有名です。

・大島紬
・結城紬
・西陣織
・京友禅
・加賀友禅

また、京都府の西陣と群馬県の桐生、福岡県の博多は帯が有名であり、帯の三大産地と呼ばれることもあります。

北海道

・優佳良織:旭川市が産地
・厚司織:平取町が産地

優佳良織は、さまざまな糸を組み合わせて色彩豊かに作られます。
厚司織は、アイヌ語が語源です。
オヒョウという楡科の樹皮で織った布地に刺繍を施し、アイヌの人々は日常的に着ていました。

青森県

・津軽刺子:広前市が産地
・南部菱刺し:八戸や南部地方が産地
・南部裂織:八戸市が産地
・津軽木綿:広前市が産地

なかでも、津軽刺子は厳しい冬を過ごす農村の風習から生まれた民芸品です。
保温と補強のために麻地に木綿糸で幾何学模様が施されるところが特長です。

岩手県

・南部紫根染
・南部茜染
・南部紬
・南部古代型染

南部紫根染は、紫草を使って染めます。
赤みのある紫は岩手紫とも呼ばれ、朝服にも使われました。
南部茜染は、紫根染の姉妹染です。

宮城県

・精好仙台平:仙台市が産地
・栗駒正藍染:栗原市が産地
・白石紙布:白石市が産地
・白石紙子:白石市が産地

栗駒正藍染は、日本最古の染色技法である正藍染めを受け継いでいます。
真夏の気温上昇による自然発酵を、短期間だけ行って染めるところが特長です。
技法の保持者であった初代・千葉あやのさんは、昭和30年に重要無形文化財保持者に認定されています。

秋田県

・秋田八丈
・天鷺ぜんまい織り
・秋田畦織
・鹿角茜染
・紫紺染

秋田八丈は、黄八丈(東京都の八丈島が産地)とは異なる原料で作られます。
ハマナスの煮汁を用いた染色法が用いられ、希少性が高いです。

天鷺ぜんまい織りは、ぜんまいの綿毛に加えて水鳥の羽毛や真綿などを折り込みます。
珍しい素材を使っているところが魅力であり、ぜんまい白鳥織と呼ばれることもあります。

山形県

着物の産地

・置賜紬
・科布

置賜紬は、米沢市、長井市、白鷹町で作られる織物の総称です。
受け継がれた技術や技法がそれぞれ異なるところが特長とされ、1976年に伝統的工芸品に指定されました。

福島県

・会津木綿
・会津からむし織

会津からむし織は、中国から伝わった技術を受け継いだ着物です。
会津上布と呼ばれた歴史もあり、通気性と吸湿性の良い夏の着物として知られています。

東京都

・江戸小紋:江戸(現在の東京都の中央部)が産地
・東京友禅
・東京染小紋
・黄八丈:伊豆諸島の八丈島が産地
・村山大島紬
・多摩織
・長板中形

1976年には、東京都が産地となる小紋が伝統的工芸品に指定されました。
古典的な小紋は江戸小紋、手付け型の小紋は東京染小紋に分類されます。
紋入りの江戸小紋は色無地や訪問着と同じ準礼装として着ることが可能です。

黄色・茶色・黒色を基本とした絹織物の黄八丈も有名です。

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埼玉県

・秩父織
・正藍武州紺織
・所沢絣
・川越唐桟
・秩父銘仙

秩父銘仙は、リーズナブルながら大胆な色柄が美しい着物です。
用いられるほぐし捺染は、1908年に坂本宗太郎さんが特許を取得しています。
2013年に伝統的工芸品に指定されています。

千葉県

・館山唐棧
・銚子縮

館山唐棧は、木綿が使われますが砧打ちによって絹のような風合いとツヤのある着物です。
現在では生産する機屋は一件のみとなり、希少価値が高いといわれています。

茨城県

・結城紬
・石下紬
・谷和原木綿

結城紬は、結城市で奈良時代から歴史が続いている絹織物です。
全工程を手作業で行う紬の最高級品とされ、国の重要無形文化財としても知られています。
伝統的工芸品とユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

栃木県

・結城紬
・足利銘仙
・佐野縮
・真岡木綿

真岡木綿は、益子木綿と呼ばれることもある着物です。
鬼怒川から水戸にかけて栽培された綿花が使われていましたが、昭和初期に一度歴史が途絶えてしまいました。
現在は地元の呉服屋の努力により、復元が進められています。

群馬県

・桐生織
・伊勢崎織
・中野絣
・桐生絞り:桐生市が産地
・伊勢崎銘仙

桐生織は、1000年以上の歴史を持つ着物です。
朝廷にも献上されたといわれています。

桐生絞りは、群馬県が指定するふるさと伝統工芸品です。
伊勢崎銘仙も伝統的工芸品に指定されています。

山梨県

・甲斐絹:郡内地域が産地
・郡内紬
・大石唐糸織

甲斐絹は、幻の織物とも呼ばれる着物です。
羽織りの裏地として重宝され、現在ではネクタイ生地などでも使われています。

大石唐糸織は、黄縞が特長の厚手の着物です。
一貫作業を伝統として現在も作られています。

新潟県

・十日町絣
・十日町明石縮
・十日町友禅
・小千谷縮:小千谷市が産地
・小千谷紬
・越後上布
・塩沢紬
・本塩沢
・科布
・五泉平
・加茂木綿
・片貝木綿
・栃尾紬
・山辺里織
・楮紙布:小千谷市が産地

十日町友禅は、京都の友禅染の技術を用いて9つの工場で作られている着物です。
なかでも振袖を中心に生産し、抜群の華やかさを活かして訪問着や留め袖、帯も作られています。
小千谷縮は越後縮とも呼ばれ、国の重要無形文化財に指定されています。

富山県

・福光麻布

福光麻布は、福光の山間地で普段着として着られていた着物です。
化学繊維の登場と大麻の栽培禁止により、昭和天皇の大葬の礼以降途絶えています。
現在は、復活のためさまざまな活動が行われています。

長野県

・伊那紬:長野県南部の伊那谷地方が産地
・信州紬
・信州友禅

伊那紬は、地元の草木で染色した糸を織り上げて作る着物です。
肌触りが良いといわれています。
信州紬は、1975年に伝統的工芸品に指定されています。

石川県

・加賀友禅:金沢市が産地
・牛首紬:白山市の白峰地域が産地
・能登上布
・小松綸子:小松市が産地

加賀友禅は、武家文化のなかで生まれた着物です。
金箔や絞りといった装飾を用いず、加賀五彩と呼ばれる絵画のような草花模様が特長です。
1975年に伝統的工芸品に指定されています。

福井県

・福井羽二重
・春江縮緬
・越前墨流し

福井羽二重は、撚りのない経糸と緯糸で作った絹織物です。
最上の絹織物といわれています。

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愛知県

・有松絞
・鳴海絞
・名古屋友禅
・知多木綿
・三河木綿

有松絞と鳴海絞は、かつて100種類以上の絞りがあった着物です。
現在では70種類以上が受け継がれ、1975年には伝統的工芸品に指定されました。

岐阜県

着物の産地

・郡上紬:郡上市の八幡町が産地
・高山憲法染小紋

郡上紬は、宗廣力三さんが生み出した着物です。
天然の植物だけを使って染め上げ、温かみのある仕上がりが特長です。
宗廣力三さんは1982年に人間国宝に指定されています。

静岡県

・伊兵衛織:浜松市が産地
・注染ゆかた
・遠州木綿
・掛川葛布:掛川市が産地
・大井川葛布:島田市が産地
・颯々織

颯々織は、不均等の糸を使った独特のムラが特長の着物です。
現在は、二代目の奥さんである平松久子さんが作っています。

三重県

・松阪木綿
・伊勢型紙

松阪木綿は、遠くから見たときに縞が一色に見える着物です。
一度途絶えましたが、再び作られるようになりました。

兵庫県

・丹波布:丹波市の青垣町が産地
・丹波木綿

丹波布は、しまぬきと呼ばれることもある着物です。
緯糸につまみ糸として絹糸を加え、独特のふっくらとした風合いを放ちます。
使うほど丈夫になるところも特長です。

京都府

・西陣織:京都の西陣が産地
・京友禅
・京小紋
・京鹿の子絞
・丹後縮緬
・藤布

西陣織は、紋織で複雑な文様を施した着物です。
豪華な着物として知られています。

京友禅は、世界的にも有名な模様染めの着物です。
絵画調の模様が特長といわれています。

滋賀県

・浜縮緬
・近江上布
・秦荘紬
・網糸紬

近江上布は、近江晒とも呼ばれ、移り住んだ京都の職人によって技術が伝わった着物です。
しぼつけと呼ばれる縮加工が特長といわれています。

奈良県

・奈良晒
・大和絣

大和絣は、江戸時代の中期に生まれ、明治時代に全国的に知名度が広まった着物です。
1965年ごろには生産が途絶えてしまいましたが、染織作家の亀山知彦さんによって復活しました。

鳥取県

・弓浜絣
・倉吉絣

弓浜絣、倉吉絣ともに、素朴な風合いが特長の着物です。

島根県

・出雲織
・広瀬絣
・安来織
・出雲裂織

広瀬絣は、古くから伝わる手法を用い精妙な仕上がりで粋と評価される着物です。
正藍の濃淡によって模様が表現されるところが特長です。

岡山県

・作州絣

作州絣は、太めの木綿糸を用いた着物です。
シンプルな模様と耐久性の高さが特長といわれています。

広島県

着物の産地

・備後絣

備後絣は、日本三大絣の一つです。
1992年に伝統的工芸品に指定されています。

徳島県

・阿波太布
・阿波しじら織
・阿波藍染

阿波しじら織は、阿波藍を使って色付けした優雅な着物です。
単衣の木綿着物として夏に選ばれています。

香川県

・保多織

保多織は、江戸時代から伝わる着物です。
規則正しい凹凸によって、肌ざわりと保温性・吸水性に長けているといわれています。

愛媛県

・伊予絣

伊予絣は、温泉地域で作られる着物です。
綿による着心地の良さと藍染めによる防虫効果により、農家の作業着として選ばれています。

高知県

・土佐綿紬

土佐綿紬は、赤岡縞や岸本縞とも呼ばれる着物です。
現在は伝統を残すための民芸品として作られています。

福岡県

・献上博多織:福岡市が産地
・久留米絣:留米市が産地
・小倉織:北九州市が産地

久留米絣は、1957年に重要無形文化財に指定されている着物です。
藍色に、細かな白色の絣模様が施されているところが特長です。

佐賀県

・佐賀錦

佐賀錦は、方眼紙を使って文様を作り出した着物です。
大胆な文様と色使いが特長といわれています。

長崎県

・島原木綿

島原木綿は、藍染糸を地色にした木綿の着物です。
一反の完成まで約3年かかり、手仕事ならではの丁寧な仕上がりが特長といわれています。

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熊本県

・天草更紗

天草更紗は、長崎出島を通じて伝えられたといわれる着物です。
後継者がいなくなり途絶えたこともありましたが、現在は復興を遂げています。

宮崎県

・大島紬
・薩摩絣
・綾の手紬

薩摩絣は、男物として広く選ばれていた着物です。
技術の進歩とともに、現在では女性の着物も作られています。

鹿児島県

着物の産地

・大島紬:鹿児島県の南方にある奄美群島が産地
・串木野木綿

大島紬は、独自の技法によるしなやかな風合いで人気の着物です。
着物好きさんからは、いつか着てみたいと憧れられています。

沖縄県

・川平織:石垣島が産地
・琉球紅型
・芭蕉布
・琉球絣
・首里織
・読谷山花織
・久米島紬:久米島が産地
・与那国織
・八重山上布
・八重山交布
・ミンサー織
・宮古上布
・宮古織

芭蕉布は、1974年に重要無形文化財に指定された着物です。
夏の着物の最高峰であり、沖縄を代表する織物でもあります。

産地にこだわった着物は林屋におまかせ

着物について知識が深まると、産地にこだわりたいと考える着物好きさんもいるでしょう。
どこで作られた着物なのかこだわりたい人には、着物専門店の林屋がおすすめです。
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まとめ

着物の産地についてご紹介しました。
着物専門店の林屋では、こだわりの着物をバリエーション豊かにご用意しています。
「〇〇で作られた訪問着を探している」「憧れの〇〇を着てみたい」など、どんなことでもご相談ください。

林屋へのご来店の際には、Webからの来店予約がおすすめです。
岡山県倉敷市・香川県丸亀市の方は、ぜひご予約の上ご来店ください。

岡山・香川最大の着物・呉服専門店の林屋

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